精神科医Tomy著『心の荷物の手放し方』2022年1月11日、ダイヤモンド社
本書のタイトル『心の荷物の手放し方』に関して最も強いメッセージは、巻頭の「たいていのことはね、気にしすぎなの」に集約されていると思います。単純なメッセージですが、心の荷物になりそうなことが頭から離れないとき、このメッセージを思い出すことで、心が救われるのではないかと思います。
全体構成
本書では、8つのテーマに関して、ショートストーリーが展開されています。8つのテーマは、「期待」「不安」「選択」「好意」「悪意」「女王」「迷い」「決意」です。
それぞれのストーリーで、肝となるTomy先生からのメッセージカードが紹介されています。登場人物は、このメッセージカードのメッセージで、心の荷物を手放すことができる、というストーリーです。
「期待」
あきらめきれなかった夢に向かって一歩を踏み出す若い女性の話です。
自分のやりたいことを貫こうとすると、どこかの誰かはガッカリする。でも他人が口を出すことではないですよね。
他人からどう思われるかを気にしすぎてしまうと、自分のやってることに自信が持てなくなってしまいます。
わたしは休職後、他人からどう思われるかを気にしなくなれるようになり、心の荷物を手放せていると感じます。
他人は意外と自分のことをそれほど見てないし、期待してないし、どうこうしようと思っていないと思います。
やりたいこと、すきなことを楽しみながら続けていく。これに尽きます。
「不安」
大学受験を控えて将来に不安を感じる男子高校生と過干渉の母親の話です。
先のことを考えると不安になってしまいます。
特に経験の浅い若い人にとって、こうなったらどうしようと考えると、対処法が想像もできず、不安になりやすいと思います。
Tomy先生の仰るように、過去を振り返ると、何とかなってきたから今があります。問題にぶち当たったときに、そのときにとれる選択肢から、周りの人に相談しながら最適と思えるものを選んでいけばいい。結果として最適でなかったとしても、何とかなる。その繰り返しだと思います。
今を一生懸命に生きる。が好きな言葉です。
「選択」
元カレと現在のカレとの間で葛藤する女性の話です。
不満のない相手ではなく、「不満を伝えられる相手」が素晴らしいパートナー。
全てに好意が持てる相手はいないですよね。特にまったく違う環境で育ってきた二人が一緒に生活するようになると、違いが出てくるのは当然。
そこをお互いに我慢するのはよくない。違いを話し合って、二人で新しいルールを作っていく。
そんな関係であれば、いい家庭を築けていけますね。
「好意」
女性会社員の三角関係の話です。対人関係の問題に対する心の荷物です。
急に好意を示してくる人は、急に嫌うもの。
距離のとり方は大事ですね。相手が突然嫌ってきても、自分に問題があるわけではなく、相手なりの事情がある。
相手のことは変えられないから、自分は関わりたくなければ放っておけばいい。
自分のコントロールできないことに心をとらわれてしまうのは、大きな荷物になりますね。
「悪意」
仲の良い友人に裏切られてします女性の話です。
他人が許せないときは、自分に大きなストレスがある。
この話もコントロールできるのは自分だけ、ということでしょう。
自分に余裕があれば、相手の事情を慮り、腹を立てることもなくなります。人生経験を積んでいくことで身につけられることですね。
他人と過去は変えられない。このことに気づいてから、心の荷物を手放せるようになりました。
「女王」
会社のお局様の標的になってしまった女性会社員の話です。
仲間外れにさたら、仲間外れにされたままでいい。みんな一緒が正しいわけではない。
会社のすべての人と仲良くというのは無理ゲーですね。会社の業務を遂行できれば、必要最低限のコミュニケーションがとれればいい。
仲間外れにされても、全員が敵になるわけではない。本当に大切な人が見つかるかもしれません。無理に仲間に入ろうとしても心の荷物が重くなるだけですね。会社は仕事のつきあい、と割り切るのも必要です。
「迷い」
家を買わされそうになる押しに弱い夫の話です。
押しの強さを受けたときこそ、ゆっくり立ち止まって考えてみる。相手が本当にあなたのことを考えているのなら、充分納得するまで待ってくれる。
経験が浅い若いころは、押しに弱い自分は損をしてきました。心を落ち着かせてゆっくり考えることは大事ですね。
この話の奥さんのように理解力のある相談できる相手がいることも重要ですね。家族を思うあまり、いい話と飛び乗ってしまいそうなところを、抑えることができました。
大事なことを選択するときには、信頼できる相手に相談したいと思います。
「決意」
親友の亡き後、クリニックを継ぐ決意をする医師の話です。
ストレスを減らすたった1つの方法、それは「手放す」こと。
辛い時期にこそ「手放す」ことが唯一の救われる方法。生きる理由さえ残ればいい。
これまでの7つのストーリーで心の荷物の手放し方の具体例が紹介されていましたが、生きる理由を残して、他のものはすべて手放すことができる、というメッセージで、心の荷物を手放しやすくなる意識が持てると思います。
よく言われることですが、手放す障壁となってしまうのがサンクコスト。生きる理由に比べたら、ちっちゃいものですね。
最後に
本書ではTomy先生からの8つのメッセージカードが宝物になりました。それぞれのストーリーはメッセージを理解するのにイメージを持ちやすかったです。心の荷物が重くなったと感じたときは、このメッセージを読み返したいと思います。